父の涙。。。

 去年の今頃、母は退院してから一番元気だったかもしれない。一番気にかけていた母の実家の法事に出られたことは本当によかったと思う。また、遠方から親戚や知り合いが母に会いに来たのもこの頃だった。5月10日(火)私は1日仕事を休んで、母を病院に連れて行った。母はうどんを美味しそうに食べた。でも半分は食べられず、私が半分食べた。アイスを食べる?とすすめると、やはり少し食べて「うまいわ」と言った。


2004年8月
 父は、昔から冷静で動揺しない、というイメージがある。
家では、母の入院が長引くにつれ父に母の様子を聞く人も多かったようだ。母の病状説明があった後、母の病状を村の人に聞かれた父は初めて涙を見せたらしい。
 その後、母は胆汁を取っていた管が取れ、少し楽になったようだが食欲はあまりないようだった。
しかし、主治医から「手術はしなくてもよくなった」と聞かされ、
「早く退院できる」と喜んでいた。
見舞いに来た村の人から父の涙のことを聞いたらしく、
「ちょっとはこたえたのかねえ。。」と言って嬉しそうにしていた。
私は、自分に何ができるのか考えたが、毎日病院に顔を見せて、母の入れ歯を磨くことと、母の肌着を洗濯することぐらいしかできなかった。
 それともう一つは、母の質問に答えること。。
母は、「結局自分の病気が何なのか」ということを納得したいようだった。
私は、病名だけは伏せてなるべく本当の事を伝えた。一番大きな嘘は
「いくら薬が効いても、本調子に戻るには1年くらいかかるだろうから、あせらないでいこうね。」
というものだった。
私は3ヶ月後が不安でならなかった。自分がちゃんと母の死を受け入れられるかが不安だった。