しわ。。。

2004年10月
 母が退院してしばらくすると、母は体が思うようにならないため父に対して当たり始めた。
私はたまに実家に顔を出すだけなので、どちらかのヒイキはできないが。。。
 母は、父に対する不満をぐちった。痩せたのと、しかめつらで顔はしわくちゃだった。今にして思えば、父に不満をぶつけることが母の気持ちのはけ口だったのかもしれない。
 母は若い頃死にかけたことがある、と聞いたことがある。山に山菜とりに行っていて、山から転げ落ちそうになり、間一髪のところで木の窪みにひっかかって止まったということである。そして、話の最後に「きっと○ちゃんが、助けてくれたいろ」と付け加えた。○ちゃんとは母の末っ子の妹である。
母の妹は10代で亡くなっている。
 背中に荷物背負って山道を下っている途中、一休みしようと石に腰をかけようとして、そのまま谷に転落した、、ということだ。その時、そばに居た人が最後の声を聞いた。
「おら、いやわぁ~!!」
叔母は即死だったらしい。
私は、、母も心の中で叫んでいるような気がした。「おら、いやわぁ~!!」と。。。
しかし、母は気丈だった。